高校生の探究テーマは「問い」から見つける!自分だけのテーマ発見5ステップ【総合的な探究の時間】

テーマ決め

「総合的な探究の時間、何を探究すればいいんだろう?」

高校生の皆さん、探究テーマが決まらなくてモヤモヤしていませんか? 「班のメンバーで意見がまとまらない…」「興味はあるけど、どうやってテーマにすればいいのか分からない」「難しそうだけど、自分たちにできる範囲に落とし込むのが難しい…」 そんな悩みを抱えているのは、あなただけではありません。

でも、安心してください。 この記事は、あなたが「安易な答え」を求めるのではなく、あなた自身が「自分だけの探究テーマ」を見つけるための「思考のプロセス」 を、ステップバイステップで案内する「地図」となるでしょう。探究活動は、単なる宿題ではありません。これは、これから社会に出ていくあなたにとって、「自分で考え、行動し、より良い未来を創る」ための「自己決定」と「PDCAサイクル」を実践する、最高の練習の場なのです。

さあ、この「Inquiry Mentor」で、あなたの探究の旅を、最高の学びの機会に変えていきましょう!

なぜ探究テーマは「問い」から始めるべきなのか?

探究活動を始める際、多くの人が「テーマを決めよう」と考えます。もちろんテーマは大切です。しかし、実は「何を探究するか」と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが、「どのような問いを立てるか」 という視点です。

「テーマ」と「問い」の決定的な違いを理解する

「テーマ」は、探究の対象となる「漠然とした領域」や「キーワード」を指します。例えば、「環境問題」「地域の活性化」「AIの未来」などがテーマです。これだけでは、どこから手をつけていいか分かりませんよね?

一方、「問い」は、そのテーマの中から**「あなたが具体的に何を知りたいのか」「何を明らかにしたいのか」** を明確にする質問文です。

【例で見てみよう】

探究テーマ(漠然とした領域)探究の「問い」(具体的に探究できる質問)
環境問題「なぜ〇〇市ではプラスチックごみが減らないのだろうか?」「高校生にできる効果的なプラスチック削減策とは?」
地域の活性化「〇〇商店街のシャッター街を活性化させるために、高校生ができることは何か?」
AIの未来「AIの進化は、高校生の進路選択にどのような影響を与えるのか?」

Google スプレッドシートにエクスポート

このように、「問い」を立てることで、探究の方向性が明確になり、次に何をすべきかが見えてきます。

「答えがあるもの」よりも「答えを探すもの」探究の面白さ

学校のテストや調べ学習では、「正しい答え」をいかに見つけるかが重視されます。しかし、探究活動の面白さは、「まだ誰も知らない答えを、自分自身で見つけ出すプロセス」 にあります。

「〇〇の歴史を調べる」というテーマも大切ですが、その歴史から「なぜ〇〇は衰退してしまったのか?」「どうすれば再び活気を取り戻せるのか?」といった**「問い」** を立てることで、単なる事実の羅列を超えた、深い探究へと発展させることができます。

あなたの探究を「自己決定」でドライブする重要性

高校生であるあなたが、学校の授業で探究活動に取り組むことは、「自分で考え、自分で選び、自分で行動する」という「自己決定」の練習でもあります。

与えられたテーマをこなすだけでは、本当の学びにはつながりません。 自分の心から「なぜ?」と湧き上がる問いを見つけること。 それが、あなたの探究活動を主体的に、そして何よりも「面白く」する原動力になります。 この自己決定の経験こそが、大学受験や、その先の社会で直面するであろう、様々な課題を乗り越える力となるでしょう。

【PDCAで導く】自分だけの探究テーマ発見5ステップ

探究テーマを見つけるプロセスは、実はPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)と密接に関わっています。このPDCAサイクルを意識することで、闇雲に進めることなく、効率的かつ質の高いテーマを見つけることができます。

STEP1: 「Plan」無意識の「なぜ?」を深掘りする「興味関心リスト」作成術

最初のステップは、あなたの心の奥底に眠る「気になること」を掘り起こす「Plan(計画)」です。

私たちは日々の生活の中で、無意識にたくさんの「なぜ?」を感じています。それらを意識的に拾い上げることが、探究のスタート地点になります。

【ワーク:あなたの「なぜ?」を掘り起こせ!】

紙とペン(またはスマホのメモ帳)を用意して、以下の質問に答えながら、思いつく限り書き出してみましょう。どんな些細なことでも、馬鹿げていると感じることでもOKです。

  • 日常生活で気になったこと:
    • 「なんでこの電車の広告、いつも同じなんだろう?」
    • 「どうしてこの地域は高齢者が多いんだろう?」
    • 「コンビニの〇〇、なんで急に人気になったんだろう?」
  • ニュースや社会問題で心に残ったこと:
    • 「SDGsってよく聞くけど、結局何から始めればいいの?」
    • 「地球温暖化って、本当に私たちがどうにかできる問題なの?」
    • 「最近よく見る『〇〇ハラスメント』って、なぜなくならないんだろう?」
  • 学校の授業で疑問に思ったこと:
    • 「歴史の教科書に出てきた〇〇、もっと詳しく知りたい!」
    • 「この数学の公式、何に役立つんだろう?」
    • 「現代文で読んだあの作品、作者は何を伝えたかったんだろう?」
  • 趣味や好きなことで深掘りしたいこと:
    • 「推し活って、なんでこんなに人を熱狂させるんだろう?」
    • 「このゲームのキャラクターデザイン、どんな意図があるんだろう?」
    • 「〇〇スポーツのルール、もっと面白くできないかな?」

【班活動の場合】

メンバーそれぞれがこの「興味関心リスト」を作成し、持ち寄りましょう。そして、それぞれのリストを声に出して共有し、以下の質問で共通点や共鳴するポイントを探します。

  • 「あれ?私もそれ気になってた!」
  • 「〇〇さんのそれ、私のこれと繋がってるかも?」
  • 「みんなが関心を持っていることの中で、特に盛り上がる話題は?」

この共有の段階で、班員全員が「これ面白そう!」と思えるようなテーマの種が見つかるはずです。

STEP2: 「Do」漠然とした興味を「探究できる問い」に磨き上げる!

リストアップした「気になること」はまだ原石です。次に「Do(実行)」として、それらを具体的な「探究できる問い」へと磨き上げていきます。

【ワーク:「気になること」を「問い」に変換する魔法の質問】

リストの中から特に気になったものを1つ選び、以下の質問を自分に投げかけてみましょう。

  • 「なぜ?」「どうして?」
    • 例: 「なぜこの地域は高齢者が多いんだろう?」
  • 「もし~だったら?」
    • 例: 「もしスマホが使えなくなったら、私たちの生活はどう変わるだろう?」
  • 「どうすれば~?」
    • 例: 「どうすれば学校の〇〇をもっと良くできるだろう?」
  • 「〇〇は△△にどのような影響を与えるか?」
    • 例: 「SNSは高校生の学習習慣にどのような影響を与えるのか?」

この質問リストを使うことで、漠然とした「気になること」が、具体的な「探究の問い」へと変化していくのがわかるはずです。

【高校生が陥りがちな「広すぎるテーマ」のワナ】

「環境問題」や「貧困」など、社会全体の問題は非常に重要ですが、高校生の探究で扱うには広すぎる場合があります。広すぎると、どこから手をつけていいか分からなくなり、結局何も進まない…という事態になりかねません。

興味を「自分たちでできる範囲」に落とし込むための思考プロセス:

  • ステップ1: 興味の「大元」を特定する。
    • 例:「世界中の貧困をなくしたい!」
  • ステップ2: それが「なぜ気になるのか」を深掘りする。
    • 例:「ニュースで見た子どもたちの笑顔が忘れられない」「募金だけじゃ解決しないのかな?」
  • ステップ3: 自分の身の回りや、高校生がアプローチできる範囲に視点を移す。
    • 例:「世界中の貧困」→「まず日本国内の貧困」→「自分たちの住む地域の〇〇問題(フードロス、子どもの貧困、ひとり親家庭の支援など)」
  • ステップ4: その中で、具体的な「問い」を立てる。
    • 例:「〇〇市における子どもの貧困を減らすために、高校生ができる具体的なアクションは何か?」

このように、大きなテーマから小さな、しかし具体的な「問い」へと絞り込むことで、探究の現実的な一歩を踏み出せるようになります。

【班活動での「問い」の絞り込み方:全員の意見を尊重し、合意形成するファシリテーションのヒント】

班活動では、メンバーそれぞれの興味が異なるため、テーマ設定で意見が衝突することもありますよね。大切なのは、「対話」と「合意形成」 です。

  1. 各メンバーの「問い」を共有する: STEP1で作成したリストを元に、各自が最も探究したい「問い」を1つ選び、その理由と一緒に発表します。
  2. 共通点や相互作用を探す: 「〇〇さんの問いと私の問い、実はこんな風に繋がるかも?」「〇〇さんの問いの答えが、私の問いを解決するヒントになるかも!」といった視点で話し合います。
  3. 複数ある場合は「掛け合わせ」を考える: 例えば、「地域の商店街」と「若者のSNS利用」という2つの興味があった場合、「SNSを活用して地域の商店街を活性化させるには?」という新しい問いが生まれることもあります。
  4. 最終的な「問い」を決定する: 全員が納得できる、最も「探究したい!」と思える「問い」を、多数決だけでなく、対話を通じて選び出しましょう。途中で意見が割れても、決して諦めず、なぜそう思うのか、どうすれば解決できるのかを話し合うことが重要です。

STEP3: 「Check」その「問い」、本当に探究できる?検証と調整の視点

「問い」が固まったら、次に「Check(評価・検証)」のフェーズです。この問いが本当に探究に値するか、高校生であるあなたが無理なく探究できるかをチェックします。

【探究に値する「問い」の3つの条件】

  1. 具体性があるか?:
    • 「〇〇問題を考える」→「〇〇市でゴミを減らすには?」のように、具体的な行動や調査の対象がイメージできるか。
  2. 新規性(オリジナリティ)があるか?:
  3. 実現可能性(実行可能性)があるか?:
    • 高校生であるあなたが、限られた時間やリソースで、実際に情報収集や検証、実験ができるか?
    • 例:「宇宙の起源を探る」は壮大ですが、高校生のリソースでは難しいかもしれません。しかし、「身近な星の動きから宇宙の法則を考察する」なら、可能かもしれません。

【「問い」が「漠然としすぎている」「答えがすぐ出る」場合の具体的な修正方法】

  • 漠然としすぎている場合:
    • 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)で問いを具体的にする。
    • 対象を絞り込む(例:日本全体→〇〇地域、高齢者全体→特定の高齢者グループ)。
  • 答えがすぐ出てしまう場合:
    • より深い「なぜ?」を繰り返す(例:「なぜスマホ依存が問題なのか?」→「なぜ人はスマホに依存するのか?」→「脳のメカニズムと関連性はあるか?」)。
    • 比較の視点を入れる(例:「AとBの違いは何か?」)。
    • 複数の要因を考慮する(例:「〇〇問題には、どのような要因が複雑に絡み合っているのか?」)。

【「これは探究じゃないかも…」と悩んだ時の方向修正のヒント】

  • 単なる「調べ学習」になっていないか?: ネット検索で出てくる情報をまとめるだけで終わってしまうようなら、さらに「問い」を深掘りしましょう。
  • 「感想文」で終わっていないか?: 自分の意見や感情だけでなく、客観的なデータや根拠に基づいた考察ができる問いか?
  • 「自己満足」で終わっていないか?: その探究が、誰かの役に立ったり、社会に何らかの示唆を与えたりする可能性はあるか?

STEP4: 「Action」社会とのつながりを見つける「問い」の広げ方と深め方

「問い」が探究に値すると確認できたら、いよいよ「Action(実行)」のフェーズ。ここでは、あなたの問いをより深く、社会とのつながりの中で位置づけていきます。

【あなたの「問い」がSDGsや地域課題、未来の社会にどうつながるか考えるワーク】

あなたの問いは、実は世界や地域の課題と繋がっているかもしれません。SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標や、あなたが住む地域の抱える問題に目を向けてみましょう。

  • 例: 「〇〇市における子どもの貧困を減らすために、高校生ができる具体的なアクションは何か?」
    • SDGs目標1(貧困をなくそう)、目標4(質の高い教育をみんなに)などと関連。
    • 地域のフードバンク活動、子ども食堂、学習支援などと関連。

小さな疑問から大きな社会構造へと思考を広げることで、あなたの探究活動はより意味深いものになります。これは、将来、あなたが社会の課題解決に貢献する「自己決定力」と「課題発見力」を育む上で、非常に大切なステップです。

STEP5: 探究計画の「再計画」!より良い「問い」へ磨き上げる継続的PDCA

探究活動は、一度テーマを決めたら終わりではありません。探究を進める中で、新たな疑問が生まれたり、当初の問いが不適切だと気づいたりすることもあります。これが、PDCAサイクルの「Action」から次の「Plan」へと繋がる部分です。

【完璧なテーマは最初から見つからない!試行錯誤こそが学び】

探究活動は、まさに試行錯誤の連続です。途中で「これでいいのかな?」と立ち止まるのは、学びが深まっている証拠。恐れずに「問い」を修正し、より良い方向へと進化させていきましょう。この柔軟性こそが、PDCAサイクルを回す上で最も重要な「自己決定」の姿勢です。

次のステップ「探究計画書作成」への橋渡し:

あなたの「問い」が定まったら、いよいよ探究活動の具体的な計画を立てる段階です。 探究活動の羅針盤!高校生のための「探究計画書作成ガイド(PDCA実践)」で、あなたの探究を計画的に進める方法を詳しく学びましょう。

探究テーマで「悩み」はつきもの!乗り越えるためのヒント

高校生が探究テーマを見つける過程で、特によく聞く悩みがあります。それらを乗り越えるためのヒントをお伝えします。

班活動での意見の食い違いを乗り越える「対話」のチカラ

班活動では、メンバーそれぞれの興味関心や得意分野が異なります。意見が食い違うのは当たり前。しかし、そこで諦めてしまうのではなく、「なぜそう思うのか」を深く「対話」することが重要です。

  • 相手の意見を「聞く」のではなく「理解しよう」とする姿勢。
  • 自分の意見を「主張する」だけでなく「分かりやすく説明する」努力。
  • 「どちらかの意見を採用する」のではなく「両方の意見を掛け合わせる」発想。

この対話のプロセス自体が、社会に出てからプロジェクトを進める上で非常に役立つ「協調性」や「ファシリテーション能力」を育む絶好の機会になります。

先生を「最高のメンター」にする相談のコツ

探究活動において、先生はあなたの「最高のメンター」です。しかし、ただ「テーマが決まりません」と丸投げするだけでは、効果的なアドバイスは得られません。

効果的な相談のコツ:

  1. 「何に悩んでいるか」を具体的に伝える: 「〇〇というテーマに興味があるのですが、どう問いに落とし込めばいいか悩んでいます」のように、具体的な状況を伝えましょう。
  2. 「自分なりに考えたこと」を伝える: 「〇〇を調べてみたのですが、AとBのどちらの方向に進むべきか迷っています」のように、自分の思考プロセスを示すことで、先生も的確なアドバイスがしやすくなります。
  3. 「どんなサポートが欲しいか」を明確にする: 「この分野の専門家を知りませんか?」「このデータ分析方法で合っていますか?」のように、具体的な質問を投げかけることで、先生も力を貸しやすくなります。

「自由研究」キーワードから来た読者へ:より探究的な自由研究のテーマ設定のヒント

夏休みの「自由研究」を探している高校生の中には、「探究活動」と聞くと少しハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。でも、心配いりません!自由研究も、この「問い」から始めるプロセスを意識することで、立派な「探究活動」に進化します。

例えば、「10円玉をピカピカにする」というテーマ。これをただ「磨く」だけでなく、

  • 「なぜ〇〇の液剤で10円玉はピカピカになるのだろう?化学的なメカニズムは?」
  • 「一番効率的にピカピカになる液体は何か?その理由は?」
  • 「家庭にあるもので安全にピカピカにする方法を考案するには?」

のように「問い」を立てることで、単なる実験を超えた深い探究になります。

自由研究をワンランクアップ!高校生にもできる探究的な自由研究テーマの記事で詳しく紹介しています。

あなたの探究は、未来を創る「自己決定」の練習だ!

探究活動を通してテーマを「自己決定」し、PDCAサイクルを回しながら課題に取り組む経験は、単なる知識の習得以上の価値があります。

  • 課題発見力: 漠然とした問題の中から、真の課題を見つける力。
  • 情報収集力: 膨大な情報の中から、必要なものを見つけ、その真偽を見極める力。
  • 論理的思考力: 情報を分析し、筋道を立てて考察し、結論を導き出す力。
  • 表現力: 自分の考えを分かりやすく伝え、相手に影響を与える力。
  • 協働力: 仲間と協力し、意見を調整しながら目標を達成する力。

これらはすべて、大学受験で問われる「多角的な視点」や「思考力」、そして社会に出た時に求められる「問題解決能力」「リーダーシップ」といった、生きていく上で不可欠なスキルです。あなたの探究活動は、未来の社会をより良くしていくための、小さな、しかし確実な一歩なのです。

まとめ

高校生の皆さん、探究テーマを見つけることは、探究活動の最初の大きな壁に感じるかもしれません。しかし、それは同時に、「あなただけの学び」を「自己決定」する、最もエキサイティングなプロセスでもあります。

「Inquiry Mentor」は、あなたが安易な答えに頼らず、自分自身で考え、PDCAサイクルを回しながら、探究の面白さを最大限に味わえるよう、全力でサポートします。

さあ、あなたの心のアンテナを張って、身の回りにある「なぜ?」から、最高の「問い」を見つけに行きましょう!その一歩が、きっとあなたの未来を大きく切り開く羅針盤となるはずです。


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